質問第二三六号(平成18年12月22日提出)

健康日本21の推進および国民の健康づくりを支えた社会保険健康センター等の廃止・
売却に関する質問主意書
提出者 田島一成

健康日本21の推進および国民の健康づくりを支えた社会保険健康センター等の廃止・売却に関する
質問主意書

 人口の高齢化が急速に進む中で、がん、心臓病、脳卒中、糖尿病、歯周病等の生活習慣病が増加しつつある。この生活習慣病は、ある一定の年齢になれば誰でも罹る、避けられない病気と誤解されがちであったが、食生活、運動、休養、喫煙、飲酒といった生活習慣と関係が深く、不適切な生活習慣を改善することにより予防が相当程度可能となることがわかってきた。これを実現するためには、健康づくりは自ら取り組むものであることを本人が自覚するとともに周囲の人がその個人の努力を支えるため、適切な情報を提供することや個人を取り巻く健康づくりのための環境を整備すること等が重要であるとして、平成十二年三月、二十一世紀における国民健康づくり運動、いわゆる「健康日本21」が開始され、さらに、平成十四年八月には、国民の健康の増進の総合的な推進に関し基本的な事項を定めるとともに、国民の健康の増進を図るための措置を講じ、国民保健の向上を図ることを目的とする健康増進法が公布され、国や地方公共団体、その他関係者の連携のもと、国民一人ひとりが健康な生活習慣の重要性に対する関心と理解を深め、生涯にわたって、自らの健康状態を自覚するとともに、健康の増進に努めることができるものとして期待された。
 しかしながら、本年十月、厚生労働省の公表した国の健康づくり運動「健康日本21」で掲げる目標値に対する「中間実績値」では、「当初策定された目標値に達していないことが判明した」こと、また、地域に根ざしている社会保険健康センターの廃止が進められていることに、国民の健康づくりにおいて、今後の運動の推進が思うように行かないと危惧する。

 よって、以下質問する。

一 健康日本21は、平成十二年から十ヵ年計画で、国民の食生活や運動、がんなど九分野の約百十項目について目標値を策定したわけだが、十ヵ年計画の中間評価としてまとめられた項目の内約三十項目が策定当初の数値に達していないという結果であったことについて、いかに評価認識するのか。

二 健康日本21の運動の最終評価は、平成二十二年度に行われるが、この度の結果を考慮すると、今後年度ごとの評価を行い、前記の九分野における当初の目標値を達成するよう、なお一層、運動の推進に取り組むべきと考えるが、どうか。または、項目によっては、目標値の修正を行うことはあるのか。

三 健康日本21の運動の目標に、生活習慣病の発生を予防する効果があり、健康づくりの重要な要素として、身体活動・運動を挙げている。この目標推進のため、運動の主体である地方公共団体や関係機関・関係団体は、厚生労働大臣の認定を得た健康増進施設や指定運動療法施設等を活用することによって、地域住民の健康づくりに取り組んでいる。年金・健康保険の福祉施設である社会保険健康センターのすべてがこうした施設であり、地域によっては社会保険健康センターや社会保険センター等が大半を占めている状況であることをどう考えるか。

四 社会保険健康センターなど地域に根ざした施設の廃止や売却に伴い、身体活動・運動による地域住民の健康づくりが妨げられる事例が発生している。このような事例の発生が、国民の健康づくりの環境整備が促進されるという健康日本21の運動への期待からは程遠く、また国民自らの健康づくりへの取り組みを無にするものと考えるが、政府の見解はいかがか。

五 健康づくりの重要な要素である身体活動・運動のための環境整備には、国の財政的支援は必須である。地方公共団体や関係機関・関係団体への支援はもとより、例えば、語学習得のために民間企業における講座等に参加する場合に授業料の支援が行われているように、国民自らが健康づくりの目的で公営または民営の施設や講座等に参加する際も財政的支援は可能とならないか。

六 文部科学省では、スポーツは体力の向上や精神的なストレスの発散、生活習慣病の予防など心身の両面にわたる健康の増進に資するものであるとして、スポーツ振興基本計画において生涯スポーツ社会の実現を盛り込んでいる。その中の総合型地域スポーツクラブの各市町村への展開などについては、健康日本21における社会の環境整備の充実にとって非常に有用であると思われる。このため、文部科学省のスポーツ振興基本計画と厚生労働省の健康日本21との連携を最大限に行うべきではないか。

 右質問する。


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