第164回 通常国会 衆院内閣委員会-11号 (平成18年5月31日)

「遺失物法の改正(迷い犬等保護された動物について)」について

○佐藤委員長
 次に、田島一成君。

○田島(一)委員
 民主党の田島一成でございます。
 引き続き、質問、三十分ちょうだいをいたしましたので、関係部署の皆さんから御答弁を賜りたいと思っております。
 今回の遺失物法の改正、五十年ぶりの改正ということで、この時宜を得た改正は一点妥当に思えますけれども、遅きに失した、そんな感が正直申し上げてぬぐえません。
 私、今回のこの法改正で、実は、私のみならず、関西でも随分テレビの報道等で話題になっております、迷い犬等を初めとする動物のその後がどうなっていくのかという点について特化をした形で質問をさせていただきたいと思っております。
 先日、五月の十七日でしたか、グレートピレネーズという体長一・五メートルほどある大きなフランス産の犬が迷い犬として警察に届けられた事例がテレビで報道されているのを拝見いたしました。これから先、法が改正されていくと、たった三日で殺されてしまうのではないか、そんな不安が随分席巻をし、実は、私のパソコンにも百件近く、そういった愛護団体の方々から何とかしてほしいという要望のメール等が押し寄せております。
 こういった現実を考えると、今回の法改正、一体どこに問題があるのか、そして何が変わっていくのか、そして何を国民に伝えていかなければならないのかをはっきりしなければならない、そんなふうに考えております。
 犬や猫の場合は、飼い主の不注意で逃がした、もしくは自分から逃げ出したという場合は、犬であるならば登録のあかしである鑑札、猫であるならば迷子札というものがついていないと、だれが飼っていたものか、それはわかりません。当たり前のことであります。見た目ですぐに飼っていた犬か猫というふうにわかるのであるならば、遺失物として二週間保管するということになっておりますが、これはそのとおりでよろしいですよね。

○竹花政府参考人
 所有者が判明しておりますものについては、警察はそれを必要な期間保管いたしまして、できるだけ速やかに遺失者に返す手続を現行法でも行っているところでございます。


○田島(一)委員
 それでは、見た目で持ち主がわからない、飼い犬か飼い猫かわからないという場合は、恐らく迷って家に帰れなくなっているうちに、中には毛が汚れて野良犬、野良猫のように見える、そんな場合もあります。これは、所有者不明の犬、猫というふうに判断をするのか、端的にお答えください。


○竹花政府参考人
 御指摘のように、それが野良猫なのか野良犬なのか、あるいは所有者、飼い主がおられて、しかし迷い犬になっているのかということについては一見してはなかなかわかりにくいところでございますが、御指摘のように、所有者の判明しないものとして警察としてはできるだけ早く遺失者に返すように現状で努力をいたしております。


○田島(一)委員
 飼い主が必死に捜しているというケースも当然あり得ると思います。飼い主がいるいないという判断を果たして本当に警察でできるのか、その判断基準はどこにあるのか、それを端的にお答えください。


○竹花政府参考人
 御指摘のように、その届け出のあった犬や猫が、野良犬や野良猫なのか、または飼い犬や飼い猫なのかについては、外見上一概に判断することは困難でございます。その基準といったものがあるわけでもございません。
 が、従来は、いわゆる野良であろうと飼い主がいることが想定されるものであるとにかかわらず、所有者の判明しない犬や猫につきましては、動物愛護法の対象で対処すべきものなのか、あるいは遺失物法の対象になるのか、そこについては不明なまま運用がなされていた。したがって、警察においては、そうした場合においても警察においてできる限りの措置をするという対処をしてきたということでございます。

○田島(一)委員
 遺失物として警察で保管する場合は二週間ということですけれども、今回のこの法改正で、警察が所有者不明とみなした場合は受理をしない。言ってみれば、拾得物として連れてきた人は、所有者不明であった場合、この先どこへ持っていけばいいのか。お答えいただけますか。


○竹花政府参考人
 動物愛護法の規定に基づきまして、所有者の判明しない犬、猫等につきましては、都道府県等で動物愛護法に従って措置されるべきもの、そのように措置をされるというふうに今回の法律は考えております。


○田島(一)委員
 これまで警察は、それこそ二十四時間、土曜、日曜、祝日もなしに、三百六十五日、こうした拾得物の受付窓口というものをやっていただいていました。
 ところが、この法改正によって、この二十四時間三百六十五日の体制が整わなくなってしまうということで、見方を変えれば、命あるものを見殺しにするかもしれない、そういう心配事が当然出てくるわけでありますが、その点について警察としてはどのようにお考えですか。

○竹花政府参考人
 今回の法改正の趣旨は、動物について、犬、猫を含めまして、警察においては、専門的な知識を持った人あるいは専門的な施設が不在であるということ、ないということの状況から、現状におきましても、動物愛護の観点からいかがなものか、そういう問題があったわけでございます。
 そういう状況の中で、動物愛護法に基づきまして、犬、猫については、動物愛護の観点からの措置が定められているということの状況を受けまして、動物愛護の観点でより適切な方法であろうということで、新たな規定を設けることといたしたものでございます。
 ただ、議員御指摘のように、保健所等におきまして土曜日、日曜日、あるいは二十四時間、そうした仕事をしているのかということになりますと、そうではないと私どもは承知をしておりまして、警察に対しまして犬や猫を拾得者がお持ちになって、土曜日、日曜日にお持ちになって、それではそれは都道府県に持っていきなさいよといって追い返すというような措置をこの法改正後とるということを私ども考えておりません。そういう場合につきましては、私どもとしてそれなりの対応をいたしまして、動物にとって不利益のないように、また拾得者の御意図、御意思が実現できるように適切に対処してまいりたいと考えております。

○田島(一)委員
 何か一見前向きな御答弁のように受けとめられるんですけれども、それなりの対処というのを具体的にちょっとおっしゃってくださいよ。命がかかっているというふうに思って答弁してください。


○竹花政府参考人
 例えば、土曜日にお持ちになりますと、これは県は閉まっているわけですから、その犬について警察署において保管をするということを、やはりそういう措置をとることを考えております。


○田島(一)委員
 当然、休日の間は、二日という期限を抜いてというふうに理解してよろしいですね。


○竹花政府参考人
 今のお尋ねの趣旨は、都道府県等において殺処分にする期間としてその期間を勘定するのかどうかという御質問ですけれども、それはそうは当たらないのではないかというふうに私は考えます。
 そこは所管官庁の方において御確認をいただきたいと思いますが、私どもとしては、都道府県等にできるだけ早く御連絡をして措置をお願いするということをいたしますけれども、それまでの間について動物を放置しておくわけにはまいりませんので、その間においては適切な措置を講じなければならないと考えております。

○田島(一)委員
 非常に前向きな答弁をいただけたというふうに私は理解をいたします。ここに至っては、私は考えますという個人的見解では済まされない部分ですから、ぜひこれは警察庁としてこう考えているというふうに受けとめさせていただきます。
 同じような問いを、きょうは環境省の方からもお越しをいただいております。昨年は動愛法を議員立法で成立させていただいて、いよいよあすからは施行されるということもありまして、今日、この遺失物法の改正で大きく状況が変わっていくということも考えると、環境省として恐らく心中穏やかではないだろうというふうに思うんですけれども、環境省としてこの対策をどのようにお考えなのかをお聞かせいただけますか。

○南川政府参考人
 お答えいたします。
 現在でございますけれども、動物愛護管理法に基づきまして、年間約四十二万頭の犬と猫が都道府県あるいは市の動愛センターに引き取られているというのが現状でございます。このうち、実際に新しい里親が見つかったり、あるいはもとの飼い主に返るというのは約一割ということで、一生懸命上げるように今努めておるところでございます。
 ことしの法改正を受けました、また、六月一日、あしたから施行されます、それに向けまして、私ども、犬、猫の引き取りについての措置を決めております。その中で、引き取られました犬、猫については、その保管期間をできるだけ長くして、所有者の発見とか新たな飼い主への譲渡ということを進めるような指導を行っているところでございます。
 具体的な対応でございますけれども、一つは、従来から幾つかの自治体におきまして、持ち込まれた犬、猫についてインターネットであっせん、紹介をしておったわけでございますが、それをつなぎまして、新たに飼う人、また、いなくなってしまった、逸走した犬、猫をより広域に捜しやすいようにしております。
 また、もう一つは、従来必ずしも熱心でなかった自治体もございまして、そういったところのために再飼養のためのガイドラインというものをつくりまして、家庭で飼いやすいような動物の適性チェックとか、あるいは、さまざまな病気のチェックということを自治体がより容易にできるようなガイドラインをつくっておりまして、その講習も行っていきたいと考えております。

○田島(一)委員
 きょうは厚生労働省の方にもお越しいただいていますので、ぜひ見解を伺いたいと思うんですけれども、毎年、数万匹もの犬や猫が、結局、所有者表示がなかったがために殺処分されている。この現実は御承知のことだというふうに思いますけれども、そもそものこれの根拠となっているのは昭和二十五年に制定された狂犬病予防法だったというふうに認識をしております。
 この狂犬病予防法、これ自体も、考えてみればここ四十年ぐらい狂犬病が出たなんという話は聞いたことがございません、海外で狂犬病にかかったという事例はあるやにお伺いしましたけれども。
 実際に、所有者不明で持ち込まれた犬について、今やりとりさせてもらったとおり、わずか三日間で処分されてしまうという現実、これは余りに短過ぎるんじゃないかと私は考えるんですけれども、厚生労働省、収容期間を延長するということについてどのような御見解をお持ちか、お聞かせいただけませんか。

○中島政府参考人
 ただいま御指摘の抑留をされました徘回犬につきましてですけれども、狂犬病予防法に基づく鑑札により登録が確認をされました場合については、所有者に通知をいたしまして、速やかに返還を行っているというところでございます。
 なお、御指摘のありました公示期間の延長につきましては、抑留施設における飼育、管理の観点におきまして、自治体における負担が増加をするということなどから、なかなか難しいのではないかというふうに考えておりますけれども、私どもとしましては、鑑札の装着義務の遵守を徹底させることで所有者への返還の効率の向上を図ってまいりたいと考えてございます。

○田島(一)委員
 そうですね、とりあえずは鑑札をつけるなどの所有者の表示を徹底させるということしか、今方法がないのかもしれない。それは私も実は認識をしているところであります。
 ただ、命あるものが、そこで三日間というルールで、また、飼い主とかの心ない置き去りまた遺棄等々で命が奪われるという現実問題は、やはり私たち子を持つ親としても絶対にそれは子供たちに伝えることはできないな、そんな気がしているわけであります。
 実は、我が家にも二匹の雑種犬がおります。この犬も、実は愛護センターに行って抽せんでもらってきた、そんな犬が一匹おりますし、もう一匹は友人から譲り受けた犬であります。去勢手術もいたしました。当然、リードもつけておりますし、鑑札もつけていますが、結局その犬を頼って迷い犬がやってきます。これから先、こういう迷い犬を愛護センターであるとか保健所とかに持っていこうとしても、もし三日で命がなくなってしまうのであるならば、そっとしておいた方がいいかもしれない、その方が生き延びられるかもしれない、そう考える国民もいるんですよ。
 そういう状況を考えたときに、今回のこの法改正が、果たして命を大切にしようと訴える私たちの趣旨と本当に一緒の意味で伝わっていくのかどうかを考えると、私は腕を組んで首をかしげてしまわざるを得ません。
 環境省にもう一度ちょっと、動愛法の改正も含めてお尋ねをしたいんですけれども、今回、所有者が判明していない犬、猫については二日間公示せよということであります。わずか二日間、役場の掲示板に紙を張り出して、それで、お伝えしましたよ、拾い犬がいますよということを伝えるだけで本当に十分なのかどうかを考えると、これは当然狂犬病にも基づいているわけなんです。その一方で、猫については狂犬病予防法とは全く関係のない対象外の動物なんですけれども、結局犬に合わせて二日間でいいというふうになっております。これ自体、正直申し上げて根拠がないんですね。
 猫というのは、当然南川局長も御存じのとおり、家から出ていってしまうと何日も帰ってこない、そういうような習性を持っております。動物愛護行政というものを所管する立場として、この犬、猫の保管、言いかえれば、公示期間を最低でも例えば一週間ぐらいに延ばすというような手だてをして返還率を高めよう、そういうことをお考えではないのかどうか、お聞かせいただけませんでしょうか。

○南川政府参考人
 お答えいたします。
 現状で申しますと、犬、猫が持ち込まれた場合でございますけれども、約半数の自治体が三日ないし四日間収容するということでございます。逆に、例えば七日、八日、一週間以上というところが一三%、それから九日以上というところも一一%ございまして、非常に自治体によって差があるというのが現状でございます。これはやはり、熱意もございますし、キャパシティーの問題、それから職員の問題、そういったことがあると思います。
 私どもは、できるだけ日数を長くして譲渡先を探すようにということでお願いをしておりますし、また、それがしやすいような広域的なデータベースの整備とか、それから、比較的熟練された方がいなくとも里親探しができるようなノウハウといったものを提供して、できるだけ再び飼っていただけるような環境づくりをしていきたいと考えております。

○田島(一)委員
 ぜひ、自治体によってのばらつきがあるというのを、どこの自治体ででもきちんと同じように保管しますよというスタイルにしていかないと、これはやはり問題があろうかと思います。積極的な努力をくれぐれもお願いをしておきたいと思います。
 続いて、ちょっと警察庁の方にもう一度お尋ねしたいんです。
 例えば犬、猫以外の動物、このところ、つい二年前には外来生物法も成立をし、問題になったところでありますけれども、やれイグアナが逃げたとか、またカミツキガメが発見された、そんな報道をよく耳にしております。
 私は、昨年の動愛法の成立と同時に環境委員会でも質問に立ち、当時の荒木審議官にお尋ねした質問を再びさせていただきたいと思うんですけれども、警察として、全国で取り扱っている遺失動物について、どんな種類がどれくらいいたのか、件数であるとか種類だとか、この実態把握については、昨年も申し上げましたけれども、やられていますか。お答えください。

○竹花政府参考人
 平成十六年の四半期ごとの各一カ月間、計四カ月間について実施した全国調査によりますと、警察が拾得物として取り扱った動物は約一万一千五百件で、うち、犬が八二・〇%、猫が四・〇%、犬及び猫以外の哺乳類が一・六%、鳥類が七・七%、両生類及び爬虫類が一・二%、その他が三・五%をそれぞれ占めております。
 ここから推計いたしますと、平成十六年に取り扱いました動物の件数、犬、猫以外のものについて申し上げますと、犬及び猫以外の哺乳類が約六百件、鳥類が約二千七百件、両生類及び爬虫類が約五百件、その他が約千二百件と考えられるところでございます。

○田島(一)委員
 またその詳しい資料を後ほどいただければと思いますので、ぜひお願いをします。
 先ほど申し上げたイグアナであるとか、いわゆるエキゾチックアニマルが保護された場合、警察の方でそれを飼育するといったって大変難しい問題だということは重々承知をしております。飼育の専門知識というのもお持ちでないだろうし、かなりお困りであろうかというふうには認識をしておるわけですけれども、実際、どのような状況でこの爬虫類だとかエキゾチックアニマルと呼ばれる動物を保護したときに飼育をされているのか。
 もう一つ、万が一警察で保管をされている場合に死亡に至らしめた場合、損害賠償の請求対象となっているのかどうか。
 そのあたり、ちょっと御説明いただけますか。

○竹花政府参考人
 御指摘のイグアナ、ニシキヘビのような飼養が困難な動物につきましては、私ども、動物愛護センターですとか動物園等の専門的な施設や職員を有するものに保管を委託するなどいたしまして、適切な保管がなされるように努力をいたしているところでございます。
 なお、警察において保管中にこれを死なせた場合の損害賠償責任の有無についてでございますが、これまでそういうことが争われた事例は私ども承知をいたしておりませんけれども、一般的に申し上げれば、保管管理中の警察職員の故意または過失がありますときには、確かに損害賠償請求の対象となる場合もあるのではないかというふうに考えます。

○田島(一)委員
 ありがとうございます。
 そういうことがないように、ぜひ専門関係のところに十分に聞いていただきたい、そんなふうに思いますが、動物園であるとか愛護センターだとか、そういったところが必ずしもあるとも限りません。ましてや土曜日、日曜日なんということがたび重なったり連休ということになると、その専門知識を得るということは非常に難しいわけであります。
 それぞれの警察がそのたびごとに電話しまくって引き取り先を探している、そんな話も現場では聞くんですけれども、やはり、こういう場合は全国共通の何か対応マニュアルみたいなものをおつくりにならないと、これから先現場が本当に苦労していくと思うんですね。その辺についてどのようにお考えなのか、ぜひお聞かせをいただきたい。

○竹花政府参考人
 現場においては御指摘のような困難に直面している状況を、警察庁においても報告を受けて承知いたしております。動物園の所在あるいは動物愛護センターといったものが近くに所在しないという警察署もあるわけでございます。
 私ども、対応マニュアルというものは現在つくっておりませんけれども、むしろ、委託先の確保について、都道府県警察について従前から、ふだんから準備をしておくようにという指導をこれまでしてきているところでございます。
 それまでの間の保管のあり方については、警察庁においても専門的な知識を有しておるわけではございませんし、やはり専門家の意見を聞いて、とにかくまず警察署において問題がないように預かるほかないわけでございますので、そうした知識を持っている者の確保についても、今後、そうした措置も含めて、都道府県警察に対してきめ細やかな指導をしていきたいというふうに考えております。

○田島(一)委員
 ぜひそのあたりは綿密に、全国共通でやはり対応マニュアルをおつくりになられた方がいいかと思います。どんな動物がこの先現場に襲ってくるやもしれません。その状況の中で右往左往しなければならない、そんな現場の苦労を思うときは、やはり警察庁できちっと全国共通版をおつくりになられることを私は強く要望しておきたいと思います。
 余計な心配かもしれないんですけれども、今回の改正法で、物品の場合は保管費用などを勘案して売却することもできるというふうになっているわけなんですけれども、こういう遺失動物が出てきた場合も同じように扱われるのかどうか。先ほど申し上げたグレートピレネー犬なんというのはペットショップでは何十万という金額で売られていますし、エキゾチックアニマルでも、私たちの想像を超える、百万以上する、そんなものもおります。そういうことを考えたとき、遺失動物を売却するということもあり得るのかどうか。お答えいただきたいと思います。

○竹花政府参考人
 今回の法改正によりまして、保管に不相当な費用または手数を要するものとして政令で定める物につきましては、公告の日から二週間以内に遺失者が判明しないときは、これを売却することができることといたしております。
 この売却が可能な物件については、具体的には政令で定めることを予定しておりますけれども、動物についてもその対象となり得るものとして検討いたしております。
 今後、動物について売却を可能とする場合であっても、適正な飼養が期待できる者に売却することを要件とするなど、動物の愛護に配慮した売却の方法をとるようにいたしたいと考えております。

○田島(一)委員
 売ろうと思えば、やはりその動物の取り扱いについて専門的な知識を持たないとだめなんですね。一日や二日で売却するなんということも当然できません。ですから、警察の中でやはり専門知識を蓄えていくということも当然努力をしていただかないと無理な話ですから、どうぞその点はよろしくお願いをしたいと思います。
 最後、昨年の動愛法の改正に伴って、いよいよ動物の遺棄の罰金があすから三十万円から五十万円に引き上げられるということであります。世間では、駐禁の問題についてはあすからだということを知られているんですけれども、この動物の遺棄が三十万円から五十万円に上がるということが知られているとはなかなか判断しにくいところであります。
 これが、実際、引き上げることによって動物の遺棄が本当に減るかどうかという点も、法律をつくる側でありながら非常に悩ましいところではありますし、遺棄を完全にゼロにしていきたいという思いではあるものの、国民の皆さんに、動物を捨てることは動物虐待だけではなく、いわゆる日本全体の生態系にまで悪影響を及ぼすということをやはりもっともっと理解をしていただくような、そんな努力をしていかなければならないというふうに思っております。
 とりわけ、アライグマ等々の外来生物については、罰金は、個人においてはそれこそ三百万円、法人においては一億円という罰金額を設けたところでありますけれども、実際に、警察は、明らかに捨てられたと見られる動物については遺棄罪の証拠物件というふうに記録をとっていらっしゃるのかどうか。また、飼い主を捜し出して処罰すべきであるというような方針をお持ちなのかどうか。その辺をお聞かせいただけますか。
    〔委員長退席、木村(勉)委員長代理着席〕

○竹花政府参考人
 遺棄されました動物については、実況見分などの証拠保全措置を行った後、証拠品として引き続き保管を必要とするものは、動物の種類に応じまして、警察署の施設内において保管するか、動物園など適切と判断される施設に、保管請書を徴した上、委託しているところでございます。これは証拠品として、やはり遺棄されたという証拠でございますので、そのような形で措置をいたしているところでございます。
 もちろん、その過程で、遺棄された所有者がだれであるかということについては、これは捜査ではありますけれども、当然できる限りの調査をしていくことになるというふうに承知をいたしております。
 この種の遺棄につきまして、御指摘のように、動物愛護法の第二十七条違反として、ここに虐待行為も規定されているんですけれども、それと合わせて、おおむね毎年十件程度の検挙を見ているところでございまして、警察といたしましては、こうした取り締まりを通じて、動物の愛護に係るそうした雰囲気づくりにそれなりの寄与をしているというふうに考えておるところでございます。

○田島(一)委員
 大阪府警が、この遺棄した動物を張り紙にして犯人を捜している、そして、それで結構効果を上げている、そんな情報も実は聞いています。これが、全国でこのような取り組みというのをスムーズにやっていただきたい、そのことによってこの法律の実効性というのがやはり高まるわけですから、ぜひよろしくお願いをしたいと思います。
 何はともあれ、あすから動愛法が施行されるわけであります。動物を捨てるということは犯罪であるということをやはり多くの国民に広く伝えていくこと、これが何より大切だというふうにも思いますし、もう一つには、現場の警察官が、この動物愛護管理法の趣旨、そして中身を詳しくしっかりと踏まえる、知るということが何より大事だというふうに思います。
 現場で大変御苦労されて、引き取った犬がキャンキャン鳴いて御近所に署長が謝りに行ったというようなお話も聞いています。大変現場では苦労されているというふうに思いますが、ただし、命あるものであるという認識は、人間でないにしても、やはりこれは警察としても重く受けとめていただきたい、そのことを強く要望して、私からの質問を終わらせていただきます。


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